初給料のつかいみち

2021/06/30

『かしこまりました』　『かしこまりました』　『かしこまりました』　爽やかな声がこの春から何度も響きわたるようになった。言い馴れたその言葉遣いに、同僚でありながら、なんだかこちらが接客を受けているような気分になる。

ジムマスターに今年入社した新人スタッフKOREOさん。URBAN RESEARCH DOORSというSHOPで接客のアルバイトをしてきただけあって電話の対応もバッチリ。名前の効き間違えはあっても、電話の先の誰かと軽妙な会話をしていたりするから驚いてしまう。

どんな人生を歩んできたのか、少し深堀りしてみました。中学生まで世界は自分の周りを回っているのでは？と勘違いしてしまうくらい恵まれていたと振り返る。転校すると、ドラえもんに出てくるジャイアンのようであった自分と周りとの距離感に戸惑い学校がつまらなくなってしまったそうだ。そんな時、新しく中学でできた友人にUVERworldというバンドを教えてもらってのめり込みはじめた。

『夢見てなんぼでしょ』『好きな事あったらやれ』『言葉に出来ないものは何もかなわない』そんなヴォーカルTAKUYAの言葉に人の目を気にしてやりたいことが出来なかった自分のやる気スイッチを押してもらったのだそうだ。そこからは、UVERを通して、ファッションがどんどん好きになったそうだ。彼らの真似から入った服への興味はブランドや、服の細かなディティールにをより深く知りたいと思うようになり、バイトの先輩に教えてもらった古着屋さんに色々な生の情報を聞いては、背景の物語に憧れたり影響を受けてきたのだという。

こんな時代になり、以前よりもネットショッピングが増えたそうだ、生で聞きたいけど聞けないことは深堀り深堀りする日々。ネットで買うだけでなく、個人で売ったりもして。『やっぱり人と繋がったり、偶然や縁がつながっていくときにワクワクしたりするんですよねー』と人懐っこい笑顔を見せてくれた。人たらしだなこの子は。

そんな彼の初任給。何年後にも記憶と思い出に残るようにと、ほとんどすべてをつぎ込んで(笑)アンティークのリングを購入。

『えー！！』スタッフみんなに驚かれても、これは僕の記念碑なんですと自信たっぷりの笑顔を見せる。何年後、この出来事が語られる日が来る、そんな日のために今日も彼は新しい種を蒔いている。